ラクロスをプレーするうえで欠かせないものの一つ・ユニホーム。
1990年に創部以来、数々のプレイヤーが大阪大学男子ラクロス部のユニホームを身に着け、受け継いできました。
本企画では背番号の継承を辿り、阪大の歴史を刻み、そして未来を創り上げる部員の想いを綴ります。
第一弾の今回は、OFの要となる選手が身に着けることが多かった背番号10番のユニホームに、袖を通した3名に話を伺いました。
(インタビュアー: 33期TR 齋藤希乃)

自己紹介
矢野;2024年卒、OMFの矢野俊太朗です。3年生まではOFDF両面やっていたんだけど、4年生からOFに専念しました。よろしくお願いいたします。
辰巳:26卒、つい2か月前に卒業した辰巳優太です。現役時代は俊太朗さんと同じでOMFをずっとやっていました。お願いします。
金本:2028年卒予定の金本准です。同じくOMFやってます。お願いします!
阪大ラクロス部に入ったきっかけ
矢野:俺は結構特徴的というか変わった経歴というか。俺が入学した2020年はコロナ初年度だったから、普通の新歓が夏休みまで行われてなくて、同期の中で自分より先に7・8人は夏休みの時点で既に入部してたりしたんだけど、俺自身ラクロス部という存在を知ったのが夏休みくらいで。夏休みに体験会に行ったときに「ラクロス面白いな」ってなったのと、その当時は1部にいたから『関西制覇』という言葉に惹かれて入部を決意しました。
辰巳:ふーん。
矢野:それでいうと辰巳ちょっと気になるけどね。入部したの2部落ちたあとだよね、ちょうど。
金本:たしかに。
辰巳:そうですね。たしかにタイミングとしては、僕が入部した年は2部に落ちたところの代だったんですけど、実は僕は入部するときに2部に降格した・してないっていうのはあまり気にしてなくて。入部した理由は大きく2つあるんですけど、1つは個人として新しいスポーツに挑戦してみたいっていうのがあった。中学・高校とテニスずっとやってきたからこそ、ある程度天井が見えたり満足したりしていたからこそ、大学から新しいスポーツをやれるのなら始めてみたいということで、ラクロスに出会いました。もう1つは『部活する上で4年間を捧げられるか』に自分は強く共感できた。部活に入って4年間を棒に振ることもあるけれども、ここに入れば何かを得て卒業できると、先輩たちを見て強く感じたのが僕の入部理由です。だから、2部に落ちたとかは当時あんまり考えてなかった。
金本:僕は一番デカかったのは雰囲気とか人の良さかな。最初サークル入ろうと思ってたんですけど、自分が好きな雰囲気や空気感じゃなくて。そこで部活いいなと思いました、同期とめっちゃ仲良くなるとかすごいいいなと思ったし。あとは、ラクロスはみんな初心者だから「これなら自分もできるかな」って思いました。あとは、当時めちゃくちゃカリカリだったので部活入ったら強制的にデカくなれたりするんかな、とか…。そういう感じで入りました。
矢野:あれは?入部決意した瞬間の話は?
金本:(笑)。行きたいサークルが渋いなってなってて。新歓試合を見に行って、俊太朗さん(当時1回生HC)たちと飯食ったあとに、帰る方向が俊太朗さんと一緒で。「もう入ってもいいっすけどね」みたいなことを言ったら、石橋のエニタイムの下のパチンコ屋さんの前で写真撮られて。そういう感じです。謎のパチンコ写真。
矢野:『入部確定者』の写真が、パチンコ屋の前での写真。
辰巳:シュールな写真だ(笑)
ラクロス部としての活動で一番印象に残っていること
矢野:自分は4年生の時の七帝戦。当時七帝戦っていうのはコロナでしばらく開催されてなかったのと、Bチームが参加する大会という伝統が続いてて。実際自分が4年生のときも、Bチームで開催する大会として議論が始まってた。ただ、当時コロナが落ち着いて関東の六大戦とか活発になって「かっこいいな」と思っていたから、七帝戦って価値の大きい大会なのに「なんかおかしいな」と思って。たまたま自分が七帝戦係だったから、「Aチームでやりませんか」という声かけを他大に呼び掛けたり、主催校だった東京大学さんに協力を仰いだりして、結果的に全校Aチームが参加する大会にできた。結局負けちゃったんだけど、その決勝の舞台で東大Aと試合ができたっていうのは、ラクロスの1つの精神である『遊び場は自分でつくる』みたいな部分を自分で出来たって面では、めちゃめちゃ印象深い出来事かなと、記憶に残ってます。実際の運営業務をしてくださったうえに、最終的にAチームで戦ってくれた東大には大感謝です!辰巳さんは、(2024年度関西学生ラクロスリ―グの)大会委員長として色々あるでしょ?
辰巳:印象深いエピソードいっぱいあるんですけど…プレイヤーとして・委員長として1個ずつお伝えします。プレイヤーは、正直印象に残っているのは輝かしい試合ではなくて、4年生の4月に新歓試合でやった大阪公立大学戦がずっと残っています。なんでかというと、それまで3年ちょっとラクロスをしてきたなかで『最も何もできなかった日』と位置付けていて。スポーツをやっていて全部上手くいくばかりじゃないとは分かっていたけど、自分の積み上げてきたものがあったとはいえ、本番での実力がまだまだ足りないんじゃないかと感じた。逆に言えば、あの試合がなければ自分はなあなあのまま4年間を終えていたと思っていて。あの試合で一度ボキっと折れたからこそ、「ここからまた這い上がればいいんじゃないか、這い上がれる」と信じたラストイヤーになったので、その試合が印象に残っているというかラストイヤーをより本気にさせた試合かなと思っています。委員長としては、2024年リーグ戦の閉会式で挨拶をさせてもらったとき。開会式でも挨拶はしたんですけど、皆さんこれからリーグ戦が始まるという気持ちを目の当たりにしたうえで、リーグ戦が終わって「1年間を本気で駆け抜けた人って清々しい顔をしてるな」と思って。思うような結果が残らなかった人もいるとは思うんですけど、それでも前を向いて「やりきった」という顔をされてたのが印象的でした。
矢野:真面目やな。いいすね。
金本:いっぱいあるんすけど、一番は2025年のBリーグ大阪経済大学戦(8-3で勝利、金本は3得点)かな。
矢野;出た!
金本:2年生上がってからずっとBチームにいて。でも大経戦でいいパフォーマンスを出せたことから、Aチームの練習に入ったりその後のBリーグでも点取れたりに繋がってきた。Aの試合に出て活躍はできなかったけど6on6とかに入れてもらって、そこでの基準というか緊張感を2年生ながらに学べたことが多くて。去年の関西FINAL決勝に出場はできなかったけどベンチインはできて自信に繋がったし、そこから変わったなって思います。
背番号10を選んだ経緯
齋藤:逆回りにしてみる?准から遡っていくというか。
金本:きっかけとしては、去年の閉幕飲みでOFの二次会をしたときに、「背番号どうするの?」って話になって。これは俊太朗さんが言い出した?たしか。
矢野:そうだっけ?!
金本:そうです。「(俊太朗さんが)元々10番つけてたから、それが誰に渡るか気になる」みたいな話になって。そしたら辰巳さんが「准に継いでもらいたい」みたいなことを言ってくださって。元々僕はブラザーだった田中彪斗さん(32期MF #0)の0番を新人戦でつけたりしたのもあってなんとなくイメージしてたんですけど、辰巳さんにそう言ってもらえることってすごくありがたいなって思って。歴代にも山下亮さん(23期AT)や俊太朗さんとか、すごい存在がつけてきた番号をいただけるってすごく嬉しかった。辰巳さんと亀田拓史さん(32期MF #20)は特にBチームで一緒にやってきた仲ですごく好きな先輩だったので、ありがたいなと思って。「じゃあ継がせてもらおう」って、そんな感じです。
辰巳:きっかけは1つで、僕が1年生のときのブラザーの塩路遼さん(29期AT)って方が10番をつけてて、その背中を追ってずっと10番をつけたいなと思っていたのが一番大きかったですね。当然山下亮さんとかがいらっしゃるのも分かってはいたんですけど、遼さんのプレーを見ていたのが大きかったです。
矢野:俺は4年生の七帝戦までは8番をつけてて。塩路遼さんが10の前に8をつけてて、自分が2年生に上がるタイミングで8が空いたから、「#8をレジェンド番号にしてやるぞ」って意気込みがきっかけ。元々4年生終わるまで8をつけようと思ってたんだけど、七帝戦終わったあと急に「10つけたいな」って思っちゃって(笑)。だから実は俺この場にいていいか怪しいって思うのが、俺の4年生のときの10はあくまで辰巳から借りた10番で、「引退したら返すから4年生のリーグ戦だけ10つけさせて」って辰巳にお願いしたって感じ。なんで10つけてたかっていうと、山下亮さん、都築研吾さん(26期 MF)、岡崎泰樹さん(27期 MF)とか、やっぱり代々大スターの10番で憧れの番号っていうのはずっとあったから、辰巳に頼んで半年だけつけましたって経緯です。
辰巳:そんなこともありましたね。
矢野:だから、俺のせいで辰巳は2年生のとき30番だっけ?
辰巳:あれはあれでよかったんじゃないかと(笑)。
矢野:実は借り物だったっていう。

3名ともOMF(オフェンスミッドフィルダー)だが、個々の強みは?
逆に、他の2人の自分にはない魅力は?
矢野:自分は4年生でちゃんとファーストセットで出始めたから、スタープレイヤーってほどではなかったんだけど、自分がOFをコントロールするっていうのは思ってたし、起点の1on1かけて自分がチャンス作るっていうのは常に意識していたし実際できていたって思います。辰巳と准2人とも得点力あるプレイヤーだと思うから羨ましいところだなと思うし、特に辰巳の得点後の大喜びして会場が爆発的に盛り上がるところは自分にないスター性だなって思ってたんで、そこは羨ましいポイントです。2024年近大戦(6-3で勝利、辰巳がチーム最初の得点者)とか、ロックスターのように。ONE OK ROCKみたいな姿が特徴的でした。
辰巳:僕は自分の強みは『愚直さ』かなと思っていて。何があっても絶対に折れない・諦めないっていうのは持っていて。自分の立場として、10番をつけていた割に4年生でもAにもBにも出たりという感じで、俊太朗さんよりもいっそう輝かしい成績ではなかった。番号つけてる責任もそうだし、1人のプレイヤーとして「ここで折れちゃいけない・絶対に這い上がってやる」っていう姿勢を持っていたのは自分の強みというか、よかったところかなって思ってます。2人のいいところは、それぞれ別個であって。俊太朗さんはプレーに関しては視野の広さをすごいなと思っていて。自分のプレーをしながら相手や仲間の状況も見てすべてを把握するのは難しいってなかでパスを意外な方向に的確に出したり、得点力に関しても決め方のバリエーションがあったりっていうのが、俊太朗さんのすごいところではあります。准に関しては、すごいところというか10番をあげた経緯にも近いんですけど、僕と似てて(笑)。Bリーグ大経戦までなかなか花開かず、2年生の一番折れやすい時期に練習し続けて自分の武器を磨き続けて、ランシューやダッジを愚直に磨き続けてたところがすごいなって思います。
矢野:いいすね。

お互いに聞いてみたいこと
矢野:背番号とポジション以外にもう一つ俺はこの3人に共通点があるって思ってて、希乃ちゃん気づく?
齋藤:えー、経済学部?
矢野:あー、そうそう。
金本:さっき気づきました。
矢野:だからといって何、ではないんだけど(笑)。1つあるのは、経済学部は授業に余裕があるのでラクロスに愚直になりやすいっていうのはあるのかな。俺も愚直に練習するタイプだったから3人の共通点としては、精神的・時間的に余裕があってラクロスに愚直になれたのかな。なので准はぜひ経済学部のヤツに10番を継いでもらえると。
金本:たしかに。
矢野:准なんか(聞きたいこと)ないん?口パクパクしてるけど。
金本:引退したときどういう気持ちだったか聞いてみたいかもです。
辰巳:引退した瞬間に関しては、悔しさと清々しさの両方があったかなっていうのが正直な感想。自分たちの代は関西FINAL決勝まで7年振りに行くことができて、優勝に手がかかっていたところで京都大学に負けて。最後に結果を残しきれなかったことは悔しかった一方、負けてはしまったけど自分や同期たちが頑張ってこの舞台までやってきたことに清々しさを感じてたのが引退した瞬間。
矢野:俺は、『中長期的に強い阪大』っていうのを辰巳入学の年に同期の宮本陽人(30期AT #6)と中心になって掲げ始めて。それを見届けるつもりでプレーしてたから、コーチはやると思ってたんだよね。だから引退の最後の試合、入れ替え戦のホイッスル鳴った瞬間も同期とのお別れの悲しさはあったけどラクロス人生が終わるって感じではなかったかな。だから逆に言うと辰巳のが引退の先輩。それでいうと、1回生コーチ頼まれたときに1回生チームのHCっていうポジションを与えてくれた香川慶次郎(31期DF#13)世代には感謝で、これあんま言ったことないんだけど。あのときただの1回生コーチとして頼まれてたら単年で辞めてたかもしれないけどHCっていう役職を与えてもらったから「頑張らなきゃ」って感じてそのうちに「もっとラクロス続けるんだろうな」って思ってた。
金本:じゃあHCじゃなかったらその1年でラクロス辞めてたかもってことですか?
矢野:いやあ分からんな。でもなんだかかんだやっていくなかで楽しくなっていたかもしれない。でも、准の代が入学する時点で俺めちゃめちゃやる気あったけど、そうはなってなかったかも。頼まれたら引退するまで一緒にコーチしたいなって思ったのも、初期地位が高かったからっていうのはあると思う。ってことで、わたくしはまだ引退してません。
辰巳:聞いてみたいこととしたら、俊太朗さんにとって阪大ラクロス部ってどう変わっていったのか。『中長期的に強い阪大』を掲げたときにどう変わっていったように見えてるのか。准に対しては、変わりつつある阪大の、他にない文化や雰囲気とか。どんな風に感じてるのか気になる。
矢野:なかなか難しい質問するじゃん。極端なこと言えば全部変わったと思ってる。何を考えて練習メニュー組んだかも違うし、目指すところも全然違うし。俺が入学する前は関西制覇してるから高い基準があっただろうけど、コロナを経てリセットされた部分があったと思う。その時に入学した身からすると、目指すところも違えば、そこに至るプロセスの考え方も違うし、いわゆる基準は今のほうが高くなっていると感じる部分もある。でもやっぱり学生の本質的な部分はあまり変わってないと思ってて。阪大生って中高を勉強に捧げて就職のために偏差値の高い阪大へ来た、とかの背景が多い中で、根底にある学生の価値観はあまり変わらないから、そういう点で共通する部分はあるけれど、その土台の上に生えてる部活で培ってきた価値観は全然違うかな。具体的なこと言えば、めちゃくちゃオープンになった。たくさん武者の人が来て、武者行くようにもなったし。コーチも外部の人がいるのは当たり前になったりだとか。今当たり前に思われてること昔はほとんど無かったに近しいと思ってて、そういう意味では全部変わったんじゃないかな。
金本:僕から見た、阪大ラクロス部らしさってことですか?むずいっすねぇ。他を詳しく知らないですけど、阪大らしさかなと思うのは『陽キャ』じゃないというか、そういう性格の人が多いなって思います。真面目で、だからこそラクロスに向き合う人が多いのかなって思います。言葉で表すの難しいっすけど、ノリでやるってよりは合理的に物事考えたりとかして「じゃあこうしたほうがいいよね」みたいな…うーんちょっとむずい、むずいっすねぇ。
辰巳:真面目さゆえの真剣さとか論理的思考力が、他の大学よりもあるんじゃないかみたいな?
金本:いやちょっと分かんないですけど、特徴的なのはそういうところかなって思います。でも、そういうなかでも練習中明るく楽しんだり、真面目だけどからかいあったりも、阪大の特徴かな。あとは、上下関係がなくて。リスペクトはあるけど、一緒にプレーする仲間として切磋琢磨できるところとかすかね。
矢野:あとは、准の今後の目標とか、聞きたいかも。
金本:ざっくり言うと、抽象的に言えばチームを勝たせられる選手かな。具体的に言うと個人賞を、ベスト10をもらえるような選手になりたいです。
矢野;オオーイ!これ、形に残りました。お願いします。

現役として上を目指し続ける金本准に、応援メッセージ
矢野:俺も辰巳もそれなりに頑張ったと思うけど、俺は副将、辰巳は大会委員会とかでラクロスプレー面以外での成果は残せたと思う。けど俺的に究極の理想の10番って、やっぱ点バコバコ取ってチームをプレーで勝たせられる選手であるべきだと思ってる。だから敢えて言っちゃうと、#10をもっと上向かせないといけないなって感じがしてる。だからこそ、准にベスト10獲ってもらって、今年リーグ戦で毎試合得点はしてほしいな。そのうえで、日本一獲ったときに「3年生なのにめちゃ点取ってた人は10番だったんだぜ」みたいな番号にまたしてくれることを願っておりますので、頑張ってください。
辰巳:僕からは、その愚直さから来る、『努力は裏切らない』って言葉を体現したようなプレイヤーだと思っていて。それを絶やさず、常に「どうしたらいいんだろう」って考え続けてやってもらえたらと思ってる。さっき個人賞って目標を口に出してくれてたと思うし、MVPとかで輝いてる姿を観客席からしか見ることができないけど、見たいなって思うので、チームの日本一も個人賞も、頑張ってほしいなって思います。
矢野:大人だなあ。

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