コーチとしての長いシーズンが終わりました。
ここでは敢えて、今シーズンの振り返りではなく、これからの阪大ラクロス部の未来の話をする。
一部残留に向けた死闘を制して、しばらくした後、数人の部員と話していると意外にも冷静な部員が多かったように感じる。
ここで一つ問いを立てたい
「勝利の先にあるものは?」
安堵感、高揚、感動、悔しさ?
でもそれらの多くはつかの間の感情で、三日、いや三時間もすれば薄れていってしまうものではないか。それゆえに私は彼らを冷静だと感じたのだと思う。
だからこそ、私は勝つことで、人々の感情や世の中に残り続ける「価値」に目を向け続けたい。
死ぬ気で一部の舞台をつないでくれた今年の4年生おかげで、来期の部員たちは勝ちの中の「価値」に目を向けられるようになった。
改めて今年の4年生には最大限のリスペクトを送りたい。1年間本当にありがとう。
少し話は脱線するが最近よく考えていることの話をしたい。(さらっと流してみてください)
道端に落ちている小石が何のためにそこにあるのか、多くの人は何の意味もないと考えるだろう。では、私たちが生きる宇宙は何のために存在するのか。おそらく、それにも意味はない。
意味のない宇宙に生きる私たちも、その石ころと同様、意味のない存在かもしれない。
それでも、なぜ生きるのか。宇宙規模で見れば意味はないかもしれない。ラクロスやその中で見出される価値も、同様かもしれない。
だからこそ、意味のない存在に自ら意味を見出し続けるのが、人間としての営みだ。ラクロスを通じて、勝利の先にある目的(価値)を常に自問することが重要だ。(もちろん自問の先に勝利こそ最も大切だという価値観もあると思う)
話を戻そう。
勝てば官軍という考えもある。もちろんそれも素晴らしい。しかし、私は阪大ラクロス部が「未来の創造」をする世界観を作り上げたい。
理念にもある「未来の創造」とは何か。
私が3年前から思い描いていた未来。
多様な価値観が混ざり合うグラウンドを創り、一人ひとりが自分の可能性を広げながら「自己実現」を追い求める。阪大ラクロス部がそんな世界を創るリーダーとなる。
大学での4年間を通して、このような自ら新しい世界を作っていける人間を輩出することがこの部の存在意義であり、国立大学という社会的立場、大阪という地理的条件、チームとしての過渡期、大阪大学の公式モットーである「地域に生き世界に伸びる」、ラクロスという土壌、すべてを考慮した大阪大学ラクロス部の使命だ。
理想郷だと笑われるかもしれないが、必ず我々ならこんな未来を創れる。こんな部が日本一を取れた時、とんでもなく多くの人を幸せにできるのではないか。
勝ちに向かう中での「価値」、「価値」に向かう中での勝ち
この両輪を必ず回して見せる。
二部降格から、理念の策定、新歓育成の改革を起こし三年。命を懸けて関わってきた彼らならきっとやってくれます。来期主将の薮崎がつくる世界を楽しみにしていてください。
以上の文章を読んでわかるともうが、客観的にみても自分を夢想家であると思う。そして今まで何度もその夢を打ち砕かれそうになった。しかし、ラクロスやそれを通した仲間のおかげで、自分の可能性を信じ続けることが出来た。
今年一年、少しでも「自分の可能性を信じる事」のすばらしさを部員たちに伝えたいと思って、試行錯誤してきた。少しでもその思いが伝わったのなら、コーチ冥利に尽きる。
来期の去就はまだ決まってませんが、少なくとも一人の人間として阪大ラクロス部の理念の体現者としての使命を持って今後も精進していきます。
最後になりますが、今年度、阪大ラクロス部に関わってくださった本当に多くの方改めて感謝申し上げます。今後も温かい声援、よろしくお願いいたします。
自己実現と未来の創造
2024シーズン OFコーチ 宮本陽人
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